朝日新聞劇評①

先月、6月25日の朝日新聞夕刊に、登志夫がかつて当紙に書いた劇評からの引用が掲載されました。「芸の足跡」という不定期連載で、今回は名女方中村歌右衛門さんを、過去の朝日新聞の記事をピックアップしながらその芸と人について紹介していました。

「1971年1月8日付の劇評では演劇研究家の河竹登志夫が十七代目中村勘三郎との『隅田川』を<絶品>とし、<歌右衛門の狂女はその臈たけた姿と凄艶な姿で、母の愛とかなしさを心ゆくまで描き、鮮烈な感動をさそう。おどりであるだけに、そのはげしい個性と美が何のさまたげもなく生きるのだ>と評した。」(以上、朝日新聞から引用)

 こちらが、その時の劇評です。49年前のこの月は、この歌舞伎座のほか、国立劇場、東横劇場でも歌舞伎が興行され、すべての劇評を書いています。当時の新聞は、文字の級数が小さいので、文字数もいまの劇評より多く感じます。こちらは歌舞伎座のものです。


この月は、昼に川口松太郎作の「お江戸みやげ」が初演されています。いまの梅玉さんと玉三郎さんが若いカップルを、年寄りふたりを先の勘三郎と勘彌が演じています。歌右衛門、勘三郎が昼夜に大活躍しています。最後、「(「金閣寺」の)慶寿院は我童だが、この一役はもったいない。もっとはたらいてほしい人だのに。」と締めくくっています。この、「だのに」は、父・繁俊の口調の雰囲気です。

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演劇研究家・河竹登志夫(1924-2013)、登志夫の父・河竹繁俊(1889-1967)、曽祖父の河竹黙阿弥(1816-1893)     江戸から平成に続いた河竹家三人を紹介するサイトです。(http//www.kawatake.online) (※登志夫の著作権は、日本文藝家協会に全面委託しています。写真・画像等の無断転載はご遠慮願います。)