登志夫38歳、「ヨーロッパ歴史旅情」刊
昭和38年出版のこの本は、登志夫唯一の旅を主題にした本です。登志夫といえば、昭和35年の歌舞伎初のアメリカ公演をはじめ、数々の歌舞伎海外公演に文芸顧問として同行しました。行く先々で、その国ならではのお客様の反応を調査分析もしましたが、ここでもやはり、たくさん見て、たくさん比較して、本質を探ろうという、演劇や歌舞伎の研究に対するのと同じ姿勢が感じられます。
「演劇を含めての文化と、風土と、人との相関関係を、関心を抱いた具象を通じ、歴史に照らして確かめつつ、しかもその折々のささやかな感懐を伝えながら記述」した一冊。
観光客ばかりの場所だけ見ても、その国が理解できるわけがない、という考えで、夜の酒場などにもためらわずに単身足を踏み入れ、人との相関関係も築いています。
また、折に触れ紹介したい面白い一冊です。
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