切抜帳26より①／歌舞伎公演プログラム

1993年（平成５年）5月歌舞伎座プログラム。「三人吉三～人間模様の因果の世界」。この時は夜の部で、大川端庚申塚〜割下水伝吉内〜本所お竹蔵〜巣鴨吉祥院本堂〜裏手墓地〜元の吉祥院本堂〜本郷火の見櫓、という通し上演。このあと、「車引」がついていました。

土左衛門伝吉は市村羽左衛門(17代目)、和尚吉三は松本幸四郎(9代目)、お坊吉三は市川團十郎(12代目)、お嬢吉三は尾上菊五郎(7代目)でした。

登志夫は「大川端」が有名で上演回数が多いが、全体を通して「人間模様の因果の世界」が繰り広げられ、全体を見てこそ「大川端」の意味や値打ちがわかる、と書いています。

国立劇場６月歌舞伎鑑賞教室。『かな手本忠臣蔵』五・六段目上演。監修のことばとして、「お軽と勘平」。勘平は澤村宗十郎、お軽は澤村藤十郎でした。開幕前解説は澤村田之助さんでした。

国立劇場7月鑑賞教室。『彦山権現誓助剣』豊前国彦山杉坂墓所〜同毛谷村六助住家の場の上演。監修のことばとして、「豪傑夫婦の情愛劇」。毛谷村六助は市川團十郎(12代目)、一味斉娘お園は中村時蔵(5代目)でした。

歌舞伎座9月公演プログラム。『紅葉狩』上演にあたり、「『紅葉狩』の形と心」。更科姫実は戸隠山の鬼女は中村勘九郎(5代目)、余吾将軍平維茂は中村富十郎(5代目)、山神は中村勘太郎(2代目)という配役。初演時、黙阿弥72歳、九代目團十郎50歳、制作時のふたりのエピソードも書かれています。

翌1994年2月歌舞伎座。『加賀鳶天神町』本郷木戸勢揃いより赤門捕物まで。本郷通町木戸前〜お茶の水土手際〜菊坂盲長屋〜竹町質見世〜菊坂道玄借家〜加州侯表門の場の上演。

梅吉・按摩竹垣道玄を市川團十郎(12代目)、加賀鳶日蔭町松蔵を尾上菊五郎(7代目)、女按摩お兼を澤村田之助(6代目)。

五代目菊五郎から六代目菊五郎、先代松緑、そして富十郎からこの時の菊五郎、と継承される道玄の芸について、そしてこの作のみどころなど。。

歌舞伎座5月團菊祭。昼の部『梅雨小袖昔八丈（髪結新三）』と夜の部『網模様燈篭菊桐(（小猿七之助）』上演にあたり、「色悪考　新三と七之助」として二つの演目の主役について考察。広義の色悪の分類があって面白いです。

『髪結新三』は、髪結新三を尾上菊五郎(7代目)、手代忠七を澤村田之助(6代目)、弥太五郎源七を河原崎権十郎(3代目)、白子屋娘お熊を中村芝雀(7代目)、家主長兵衛を坂東三津五郎(9代目)、下剃勝奴を坂東八十助(5代目)。

『小猿七之助』は、小猿七之助を市川團十郎(12代目)、千葉家奥女中滝川を中村雀右衛門(4代目)。

国立劇場5月前進座公演『『島千鳥―島鵆月白浪』上演にあたり「黙阿弥と『島ちどり』」。黙阿弥が引退記念に書き下ろした本作。黙阿弥の思いとは？

5月9・10日国立劇場での矢車会プログラム。「黙阿弥の舞踊劇～『船弁慶』に因んで」。中村富十郎さんの会への寄稿。

国立劇場6月鑑賞教室は『義経千本桜』四の切。監修のことばとして「忠孝狐のスペクタクル」。佐藤四郎兵衛忠信・源九郎狐が市川團十郎(12代目)、源九郎判官義経が市川右之助(3代目)、静御前が中村芝雀(7代目)という配役。初心者向けにまとめられています。

国立劇場7月鑑賞教室は『番町皿屋敷』。監修のことばとして「新歌舞伎の名作」。青山播磨は中村梅玉(4代目)、腰元お菊は中村松江(5代目)。岡本綺堂作の新歌舞伎についてみどころ聞きどころを解説しています。

6月29日北海道厚生年金会館「日本舞踊の世界」公演へ「日本舞踊のかたちと心」。海外公演での舞踊上演での反応についてを混ぜながら、舞踊の名手の芸談も入れ、テンポのいい面白い文章です。