二月以降の黙阿弥作品

一月浅草公会堂は風邪をひいたりで、観るタイミングがないまま過ぎましたが、噂によると、松也さんの魚屋宗五郎はとてもよかったとか。市井に生きる人の感じがリアルで、きっと面白い宗五郎だったろうな、とくに酔っ払ってからは迫力があっただろうな、、と、観られなかった芝居は色々想像します。

今月の御園座と松竹座は遠いので見られずでしたが、歌舞伎座の「釣女」と「連獅子」は堪能しました。「釣女」は新鮮な顔合わせで、芝翫さんの初役の醜女がとても面白く印象的でした。ドラマ「常識的にあり得ない」が話題ですが、この作品も、今の時代ではありえない設定かと誰もが思いながら見ているのではないかと思いました。「しこめ」と入力しても、すんなり候補が出てきません。「しゅうじょ」と入力しても同じです。

「連獅子」の張りつめた感じには圧倒されました。勘九郎さんはどんな役にも真剣さを感じますが、こういうものは特にそれが生きて、厳しさと慈しみの目線が伝わり、踊りは言うまでもなく素晴らしく、目を離せませんでした。宗論は若いお二人で、初日だったせいか、顔にも体にもずいぶん力が入っていました。

三月は平成中村座が名古屋の同朋高校で行われます。ドリフのコントでよく見かけた五人男も今の高校生は全然知らないのでしょう。台詞の掛詞や意味がわかるとずっと面白いので、ぜひ文字で読んで、口にしてもらえたら!と思います。

河竹登志夫 OFFICIAL SITE

演劇研究家・河竹登志夫(1924-2013)、登志夫の父・河竹繁俊(1889-1967)、曽祖父の河竹黙阿弥(1816-1893)     江戸から平成に続いた河竹家三人を紹介するサイトです。(http//www.kawatake.online) (※登志夫の著作権は、日本文藝家協会に全面委託しています。写真・画像等の無断転載はご遠慮願います。)