黙阿弥展イベント/神田伯山の村井長庵@大隈講堂

11月16日、早稲田大学大隈講堂で開催された、演劇博物館関連イベント「黙阿弥と寄席芸」。当代随一の人気講談師の出演に、大隈講堂は200人の学生と応募の一般の人で満員、LIVE上映で小野講堂にも300人の人が集まっていたとのことです。ありがたいことに、観覧させていただくことができました。


赤井紀美先生からの御説明、児玉竜一先生の開会にあたってのお言葉があり、神田伯山さんによる「村井長庵 雨夜の裏田圃」が始まりました。いうまでもありませんが、最初から最後まで引きこまれ、目を離せない素晴らしい話芸。芝居と違って転換もなければ役者さんの出入りの時間もないせいか、息つく間もないような、あっという間の至福の時間でした。

この作品は、歌舞伎では1979(昭和54)年8月の国立小劇場以来、上演は絶えているとのこと。この時は、吉右衛門さんが長庵、その他出演は田之助さん、宗十郎さん、段四郎さん、左團次さん…。今ご健在なのは由次郎さんくらいです。ぜひ、歌舞伎でみてみたいものです。この時、登志夫がプログラムに寄稿しています。黙阿弥の「会心の作」とは……?そしてその意味とは?登志夫が推測しています。

伯山さんの講談のあとは、今岡謙太郎先生、児玉先生、伯山さんとの鼎談。今の伝統芸、落語や文楽、歌舞伎のお話、黙阿弥や円朝、三題噺のことなど、面白いおはなしが続きました。落語の人気作「鰍沢(かじかざわ)」がじつは円朝作ではなく、黙阿弥が三題噺で書いたものということがほぼ確実だというお話もされていました。

文久12年の三題噺の会での摺物の2段目、真ん中の河竹の題が「鰍沢」の話のネタの「玉子酒、筏、熊膏薬」と一致しています。これが第一の証拠だそうで、面白いことになってきました。もう一つ証拠があるようですが…。一部のみ、図録から転載します。(没後130年河竹黙阿弥 図録p.38より)。下は、同じ会での円朝のお題です。

当日の配布資料には、今岡先生が作られた表があり(著作権的に表はここにあげられませんが)、「天一坊」「宇都谷峠」「鼠小僧」「髪結新三」ほかたくさんの黙阿弥作品が、講談を脚色して作られ、歌舞伎と寄席芸がお互いに影響し合って一層レベルアップしていくということがよくわかり、驚かされました。権利意識の高い今なら、原作料が莫大でしょう。

トークは予定時間をオーバーしても話が尽きず、客席ももっと聞きたい、と思いましたが、みんなで手締めをしてお開きとなりました。

「黙阿弥展」では、すばらしい図録も販売されています(価格は1818円+税)。

30年前、同じ演劇博物館での「没後100年黙阿弥展」の図録はほとんど黒白写真でしたが、今回は目も覚めるような錦絵などがたくさん載っていて読み応え、見応えがあります。
素敵なグッズも売っていました。小さくてかわいい(10 × 21センチ)卓上カレンダーです。
1月のイベント第二弾は落語です。演劇博物館のホームページに詳しい事が載っていますので、リンクを。

河竹登志夫 OFFICIAL SITE

演劇研究家・河竹登志夫(1924-2013)、登志夫の父・河竹繁俊(1889-1967)、曽祖父の河竹黙阿弥(1816-1893)     江戸から平成に続いた河竹家三人を紹介するサイトです。(http//www.kawatake.online) (※登志夫の著作権は、日本文藝家協会に全面委託しています。写真・画像等の無断転載はご遠慮願います。)