「河竹黙阿弥展」へ行ってきました。

ずいぶん久しぶりの早稲田大学のキャンパス。門までの道すがら、明治の若い頃の逍遙から始まって、繁俊が、登志夫がこの道を何度も何度も歩いたと思うと感慨深いものがありました。
私が早稲田の狂言研究会の練習で、ここに来た最初は60年安保のころでしたから、この道は本当に凄まじく乱れていました。赤や黒の太い字で書きなぐったような、安保反対の様々な大小の立て看板が林立していました。

ところが10月2日、門を入るとすぐ、整然とした大きな樹木の並木の向こうに演劇博物館が美しく建っているのが見えました。センスの良い大きなポスターがきちっと1つ、2つあるだけです。そしてとても静かでした。
戦災で演博の屋根に焼夷弾が落ちたりしましたが、木々は助かったのでしょうか、見上げるような見事な大木になっていて素晴らしい景色を作っています。
途中、左手にある大隈重信の銅像です。
右手には大隈講堂が。
そして、100年近く前の昭和3年に建てられた演劇博物館です。
シェイクスピア時代のロンドンの劇場フォーチュン座を模した、ハーフティンバーの美しい建物です。前にせり出したところは、お芝居をしたり、式典や演奏などいろいろなことに使われます。その時は柵はどかして、1段下のところに観客用の椅子を置きますと、素晴らしい野外劇場になります。
入り口は重い扉と思いきや、自動で開きます!木の階段を上る覚悟で行きましたが、玄関を入るとすぐエレベーターがありました!トイレで手を洗うとお湯が出るのには本当にびっくり!
イギリス風な装飾はそのまま、風情のあるシャンデリア、漆喰の白い壁や美しい廊下など、ここで働き、守っている代々の方々の演博への深い愛情を感じました。
いよいよ劇場に入るような気分の展覧会場に入ります。入り口には、黙阿弥の作品の錦絵から抜け出た人物が生き生きと配置された、2m以上もある現代的な大看板。
ここからは撮影禁止なので、写真では紹介できませんが、オリジナルの錦絵の美しいこと…。大震災の時に背負って逃げた、すごい存在感のある葛篭(つづら)。「風船乗りスペンサー」の縦長綴りの錦絵は初めて本物を見ました。下のほうに上野公園が小さく描かれ、真ん中は風船につかまって飛んでいる英国人スペンサー、上の方には子役が演じる遠見の風船乗りが小さく描かれていて、楽しい舞台が想像されます。
映写室では、伝説の名優たちの舞台が上映されています。
出口近くに、歌舞伎名調子による男性合唱組曲「知らざあ言って聞かせやしょう」(河竹黙阿弥詞・千原英喜曲)の楽譜を見つけました!
最初に掛け声や拍手が入った後、``つきもおぼろにしらうおの"の4部合唱が始まります。“つめてえ風も‘’の所では体を震わせたり、’’うかれからすの’’の所ではカアカアが入ったり…。ぜひ聴いてみたいものです。
珍しいものもいろいろある力の入った展示で、途中入れ替えもあるそうです。早稲田のキャンパスを楽しみながら皆様もどうぞいらして下さい。(良)


河竹登志夫 OFFICIAL SITE

演劇研究家・河竹登志夫(1924-2013)、登志夫の父・河竹繁俊(1889-1967)、曽祖父の河竹黙阿弥(1816-1893)     江戸から平成に続いた河竹家三人を紹介するサイトです。(http//www.kawatake.online) (※登志夫の著作権は、日本文藝家協会に全面委託しています。写真・画像等の無断転載はご遠慮願います。)