かえるの家⑤早稲田へ飛んできたカエル、横尾忠則さん、ぼんこちゃんからのカエルたち

1992年9月に埼玉県の笹沼威司様より1通の手紙が届きました。
「このカエルは、30年前小生が県の出先機関の長をしていた時、記念にと担当の技師から送られたもので、県産物の特許品です。小生は脊髄損傷で入院、かろうじて娑婆に生還しました。そして、無常の風吹き荒れて骸骨にならぬうちにと諸品の整理を始め、戸棚の隅にあったカエルを見つけたのです。すると、孫の2人(高一、中一)が、『いつかおじいちゃんが話していた、カエル先生にお送りしたら珍しい収集をしている先生はきっと喜ぶよ。』と。
それで『あつめる』と言う小冊子を探したが見当たりません。『ワセダの先生と言っていたね。そして名は僕の友人と同じ登志夫さんと言っていたよ』『そうだ、そうだ、早大のカエル先生で送ろう、きっと届くよ、書留にすれば間違いない』。こんな問答の末カエルをお送りしました。」
これがその、1960年代に作られた竹カエル。(6 ×4cm)
下は、前年に登志夫がカエルについての取材を受けて登場した冊子『あつめる』です。
そして、竹のカエルが無事早稲田に飛んできたのです。早稲田の事務室から登志夫の手元へまでの経緯は覚えていませんが…。
登志夫がカエルのお礼に著書「酒は道連れ」をお送りした返信がこの手紙なのです。 
「娘は『えび鯛だね』と。また孫は『おじいちゃんの心が通じたのだよ』」と84歳の笹沼さんは書いてくださっています。
それから30年が経ちました。心優しい2人のお孫さんも、もう40代半ば過ぎでしょう。お元気でしょうか。お幸せにと祈っています。

下の写真は「Lady's  Day(1985年1月号)」で、"贈り物"のタイトルで取材されています。書斎での写真で、色々なところからいただいたカエルが写っていますので、ご紹介します。
写真の左側の打楽器をたたくカエルは1971年インドネシア産。蛙の本皮でできています。四代目中村雀右衛門さんのお弟子さんの「ボンコちゃん」がお土産にくださったものです。
カエルの剥製と言えるのでしょうか。目は作り物ですがその他はそのままのようです。拡大したのが下の写真。威厳があって、異次元な凛とした美しさと、蛙のとぼけた味もあり、何やら尊敬の念を持って、飾り棚上段が定位置でした。15センチ位あります。


ボンコちゃんの舞台を私は見た事はありませんが、ゲイバーを経営していて、国税局の方と結婚(同棲)した話を聞いたことがあります。
ある時、逗子の家に雀右衛門さんの会の事で2人の若い男性と一緒に見えましたが、当時としては大柄で男性的な方でした。帰りに逗子駅前の農家の方たちが開いている小さな市場にお連れしました。
野菜を見ながら、若い2人の男性がボンコちゃんを「お母さん、お母さん」と呼ぶので、農家のおじさんおばさんが目を見張ってびっくりしていたのを思い出します。歌舞伎やファッションや美しいもの、繊細な感覚の話題がとても楽しかったのを覚えています。

左上のベスウィック社製、ミスターフィッシャー(7.6cm)は1970年に、成城の家でお隣だった横尾忠則さんが、ベルサイユ宮殿前のお店で見つけたと言って、持ち帰ってくださったお土産です。
アメリカみやげの、石を重ねたユニークなカエルの親子(蛙の家②にあげています)が最初で、登志夫がなくなるまで、本当にいろいろなところから届けて下さいました。

ピーターラビットシリーズのミスター、ジェレミーフィッシャーで、雨の中釣りに行って散々な目にあい、蓮の葉のボートに乗り、左側の茶色の魚籠(ビク)から蝶々のサンドイッチを取り出し食べているところです。近頃の同じものより色付けが丁寧で、茶色い点々もはっきりしています。
このころ、横尾さんの2人のお子さんと家の小さい3人が庭でよく一緒に遊んでいました。ママ同士もそれこそお醤油の貸し借りをするような仲で、楽しかった思い出がたくさんあります。逗子に引っ越すまでの良き隣人でした。

右上のこの子は、かえるの家①に出てきた岸村正路さんから1982年にいただいたお土産です。
マッドラークスイングランド製のとぼけたかえるくんです。
登志夫の顔を見上げているくず入れのカエルはビニールのロープを編んだ丈夫なもので、よく活躍してくれました。
他の2つは既に紹介済みですので、いつものアットランダムに移りましょう。またそれぞれに取り上げることがあるかもしれませんが、今回は布製のカエルたちです。
下の真ん中の大きなカエル(13cm)は登志夫がドイツで見つけたもので、うら側はちょっとエッチです。
1999年神戸の異人館にいたチャイナ製のウォッシャブルのエプロンカエルです。目があって連れ帰りました。
癒されますね!スプーンとフォークを手に、エプロンをかけて、これから食べるところでしょうか。
@バンダイ2002フロッグスタイルとあります。2004年に音楽家の長野志田さんからいただいています。
イタリアのおてんばお嬢さん。
こちらは御茶ノ水駅のそばの小さなお店で見かけ、作り手のカナダ人のメッセージがついていて、色彩も美しくユニークだったので連れて帰りました。小さい黒いカエルはベティ(18cm)さんで、15分でスコーンを作るのが特技だそうです。赤い方は、エルトン(26cm)さんで、今まで赤いお財布も持っていなかったけれど、赤い洋服がとても素敵だとこの頃気がついたそうです。
いらしたお客様に、「この中に本当はカエルではない子がいます。どーれだ?」と言ってお見せします。カエルの着ぐるみ?をしっかりかぶせるとどなたも当たりません(笑)
このクマさんもカエルに化けてます。バレバレですが……!
2000年に釜山で良子が仕入れました。
10センチのふわふわのアクリル素材のパソコン等を拭くクリーナーです。
今日はこれ切り(良)


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演劇研究家・河竹登志夫(1924-2013)、登志夫の父・河竹繁俊(1889-1967)、曽祖父の河竹黙阿弥(1816-1893)     江戸から平成に続いた河竹家三人を紹介するサイトです。(http//www.kawatake.online) (※登志夫の著作権は、日本文藝家協会に全面委託しています。写真・画像等の無断転載はご遠慮願います。)