5月、6月の黙阿弥作品。

あっという間に5月が過ぎてしまいました。

5月歌舞伎座3部/「弁天娘女男白浪 浜松屋、勢揃い」右近、巳之助、彦三郎、隼人、米吉の五人男で。

6月博多座夜の部/「魚屋宗五郎」菊之助、梅枝ほか。

ということで、5月、楽しみにしていた尾上右近さんの弁天小僧菊之助、期待通りとても似合っていました。明るく屈託のない爽やかな台詞、気取らず、しなやかで健康的なしぐさ。初演した五代目菊五郎は十代でこの役をやりましたから、年齢も近く…、と思いましたら、なんと右近さんは5月28日で30歳になられたようで、、、驚きです。これからも、明るいものはもちろん、陰のあるもの、凄みのあるもの、いろいろな黙阿弥世話物を演じ継いでいただきたいものです。團十郎さん、勘三郎さん、三津五郎さんが亡くなり、道玄や小猿七之助をなさっていた猿翁さんも舞台に立たれなくなり、黙阿弥世話物が危機に瀕している気がしています。

そんな中、6月博多座では菊之助さんが本興行初の「魚屋宗五郎」。博多まではちょっとうかがえませんが、きっと菊五郎劇団伝統の舞台を十分に堪能させてくださることでしょう…。

登志夫は生前、菊之助さんに本当に期待を寄せていました。登志夫の著書もお読みになる勉強家なところや、お会いすれば挨拶だけでなく一言添えてくださる誠実な人間性、俳優としての美しい容姿や確かな芸、登志夫はそんなふうにほめていたのを思い出します。


河竹登志夫 OFFICIAL SITE

演劇研究家・河竹登志夫(1924-2013)、登志夫の父・河竹繁俊(1889-1967)、曽祖父の河竹黙阿弥(1816-1893)     江戸から平成に続いた河竹家三人を紹介するサイトです。(http//www.kawatake.online) (※登志夫の著作権は、日本文藝家協会に全面委託しています。写真・画像等の無断転載はご遠慮願います。)