今月の黙阿弥作品上演

今月の歌舞伎座は28日まで花形歌舞伎と題して若い方が活躍されています。

黙阿弥作の『加賀見山再岩藤』が第一部に出ています。

猿之助さんが岩藤の霊はじめ、6役を早替りで演じるはずが、コロナ陽性となり、初日から巳之助さんが代役を勤めました。女方も岩藤も、違和感なくこなし、セリフもばっちり入って、大変なプレッシャーの中、数日の準備で形になっているのにはびっくりしました。猿之助さんだと思って切符を買った人は、キャンセルもできたようですが、巳之助さんでも見て見たいというお客様がたくさんおられたようで、客席はいい感じだったようです。

このお芝居は、「骨寄せ」と別名があるように、暗い中でばらばらだった骸骨がだんだん人間の形になり、岩藤がよみがえるという場面がとても印象的です。細かいストーリーは忘れても、この場面だけはユーモラスで忘れられません。

コロナからの復帰してすぐに六役早替りは大変だったと思いますが、猿之助さんですから、プロフェッショナルな舞台を見せているのでしょう。


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演劇研究家・河竹登志夫(1924-2013)、登志夫の父・河竹繁俊(1889-1967)、曽祖父の河竹黙阿弥(1816-1893)     江戸から平成に続いた河竹家三人を紹介するサイトです。(http//www.kawatake.online) (※登志夫の著作権は、日本文藝家協会に全面委託しています。写真・画像等の無断転載はご遠慮願います。)