「歌舞伎ソヴェートを行く」②

「歌舞伎ソヴェートを行く」の後半です。帰国後、毎日新聞への寄稿「訪ソ歌舞伎の成功について」。二回にわたり、上を登志夫が、下を藤浪与兵衛氏が寄稿しています。


こちらは見学日誌。左ページは今の猿翁、当時の団子の日誌。「香水工場にて」は本音とユーモアで書かれていて面白いです。

そして団員感想文集。歌右衛門から始まっています。

段四郎、団子。団子は、やっぱりちょっとした記録を書くにも、個性的で光っているように感じます。登志夫とはこの旅の終盤ずいぶん話をするようになり、登志夫のメモには団子が行く先々でもてることや、芸熱心でいい若者だ、と度々登場します。帰国間際に団子から、「またソ連に来ましょうよ」と声をかけられ、「実現はしまい、でも実現したら嬉しい」と書いています。実際実現はしませんでしたが、そのあとも海外公演に一緒に行ったこともありました。そのころはもう、祖父や父はこの世におらず、ソ連の時とは違い、自らリーダーシップをとる立場の俳優になっていました。



左ページの加賀屋福之助は今の梅玉。

そして左が登志夫。

奥付。

このあとの2度の訪欧歌舞伎のときも、同じ判型の記録本をやはり登志夫の編集で作りましたが、この本の三分の二ほどのボリュームのもので、団員感想文を載せる紙幅はなくなってしまいました。これだけ充実した内容の海外公演記録は、後にも先にもこの一冊だけでしょう。

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演劇研究家・河竹登志夫(1924-2013)、登志夫の父・河竹繁俊(1889-1967)、曽祖父の河竹黙阿弥(1816-1893)     江戸から平成に続いた河竹家三人を紹介するサイトです。(http//www.kawatake.online) (※登志夫の著作権は、日本文藝家協会に全面委託しています。写真・画像等の無断転載はご遠慮願います。)