「歌舞伎ソヴェートを行く」①

ソ連公演一年後に出版になったこの本。海外公演の記録としては最も力の入ったものなのではないでしょうか。古書店では手に入るようなので、多くの人に読んでもらいたい一冊です。

巻頭には写真が多数。目次をご紹介します。

目次にある通り、このソ連公演が実現するまでの交渉の段階の事を興行師が、実際花道その他、現地での上演に当たっての苦心談を大道具・小道具担当が、公演台本を狂言作者が、団員の食生活などについてを随行医師が記録しています。それから現地での劇評、日本での報道。そして毎日用意された観光ツアーの見学日誌を登志夫や団子、段四郎などが割り振られて書いています。すごいのは、団員全員の感想文があることです。長い短い色々ありますので、文字数の指定がなかったのか、自由に個性的に書かれています。さらに猿之助による公演日記、登志夫による日記抄、最後は国内の関係記事が掲載されています。

こちらは共同通信に掲載された猿之助、段四郎、団子の三代澤瀉屋と登志夫の簡単な座談会。

こちらは朝日新聞に掲載の登志夫の記事。モスクワ公演が一週間終わったところで送っている原稿です。

こちらは毎日新聞に掲載された登志夫の記事です。当時、歌舞伎の海外公演が日本国内でも大きな注目を集めていたのでしょう。アメリカ公演の時もそうですが、登志夫は現地で各新聞社と連絡を取りながら原稿をずいぶん書いて盛況を伝えました。主な新聞社も支局があったり、取材で出張したりしたのでしょう。手帳にも、各新聞社の記者の名が出てきます。

こちらも毎日新聞の登志夫の記事です。

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演劇研究家・河竹登志夫(1924-2013)、登志夫の父・河竹繁俊(1889-1967)、曽祖父の河竹黙阿弥(1816-1893)     江戸から平成に続いた河竹家三人を紹介するサイトです。(http//www.kawatake.online) (※登志夫の著作権は、日本文藝家協会に全面委託しています。写真・画像等の無断転載はご遠慮願います。)