今月の黙阿弥作品上演「連獅子」

歌舞伎座では、十七世勘三郎の三十三回忌追善として、勘九郎と勘太郎親子の 「連獅子」が、第三部で上演されており、大変感動的です。テレビの密着番組を見るとずいぶんしっかりして見えた勘太郎さんが、舞台で見るとまだまだ背丈も小さく華奢なのですが、それがキチンキチンと、ひとつひとつ懸命に丁寧に頑張っているので、こちらもついつい手に汗握ってしまいます。よいしょ、という感じで獅子の長い毛を後ろから前に降り下ろすのがなんともかわいらしく、今しか見られない!と楽しくなりました。

勘三郎さんが生きていたらどんなに喜ばれたでしょう。観客みな、そんな気持ちで見守った一幕でした。緊張感もあり、ぴりっとしたとても気持ちよい舞台でした。同じ三部の「奥州安達原」では弟の長三郎さんが健気な娘役を懸命に勤めていました。歌舞伎の家に生まれた子供を、歌舞伎嫌いにさせずにまっすぐ育てるというのは大変なことではないでしょうか。今日の芸を見れば、甘やかされてばかりではなく、かえって普通の子供より厳しい辛い目にもあっていることが感じられます。改めて、すごいことだと思いました。

それにしても、「連獅子」は、コロナ後、すでに本公演だけでも3回目の上演になります。そして、以下は、コロナ後の黙阿弥作品上演記録です。来月は歌舞伎座で「直侍」が、4月には御園座で「弁天小僧」が上演されます。


2020(令和2)

8月 歌舞伎座(第一部)「連獅子」/愛之助 壱太郎

9/11-13 大阪文化芸術フェス「連獅子」/鴈治郎、愛之助

10月 国立劇場「魚屋宗五郎」/菊五郎

10月 御園座「連獅子」/菊之助 萬太郎

12月 国立劇場「三人吉三」/時蔵のお嬢、松緑のお坊、芝翫の和尚「河内山」/白鸚、梅玉

2021(令和3)

2月 歌舞伎座「連獅子」/勘九郎 勘太郎

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演劇研究家・河竹登志夫(1924-2013)、登志夫の父・河竹繁俊(1889-1967)、曽祖父の河竹黙阿弥(1816-1893)     江戸から平成に続いた河竹家三人を紹介するサイトです。(http//www.kawatake.online) (※登志夫の著作権は、日本文藝家協会に全面委託しています。写真・画像等の無断転載はご遠慮願います。)