今月の黙阿弥作品上演

今月は、国立劇場で昼夜通しで黙阿弥ものが上演されます。

コロナ緊急事態宣言後、少ない人数で、距離をとって上演できる演目ということで、当初は舞踊劇が多かったですが、徐々に、花道でのセリフを本舞台上で言うように演出をかえたりしながら、いつものお芝居の感じに戻ってきました。客席は、まだ50パーセントしか販売していないこともありますが、それでも50パーセントの席が満席になることは滅多にありません。8月に三階席で歌舞伎座の「源氏店」を見ましたが、客としてはとても見やすくて、感染の心配も感じることがありませんでした。前後左右に人がいないのはストレスがないですし、切符もいつもより安い(観劇時間も少ないけれど)。今しか体験できないこの客席環境を、ぜひ大勢の人に宣伝したい気持ちになりました。

でも、見る演目によっては、二階席などはお客さんの数が少なく、舞台から客席を見る出演者の気持ちを考えると、いたたまれないこともありました。歌舞伎は、年配のお客さんが多いこともあり、宝塚やパルコ劇場のようなところと違って、なかなか、あえて今見に行こう、というふうにならないのです。さらに、お客さんが入る演目とそうでない演目が、一部一演目というやり方だと、はっきりとわかります。お客さんは多いに越したことはないですが、役者さん全員が人気スターではないし、いろいろな色合いの芝居に、人気はなくても個性ある俳優が混ざっているのが、歌舞伎の面白いところだと思いますので、また1月から歌舞伎座が3部制になり、そういう組み合わせの妙を楽しめるのはよいことだと思います。


コロナ以降、再開した劇場での黙阿弥作品の上演は以下の通りです。

8月歌舞伎座「連獅子」愛之助、壱太郎 

9/11-13大阪文化芸術フェス「連獅子」鴈治郎、愛之助 

10月国立劇場「魚屋宗五郎」菊五郎

10月名古屋御園座「連獅子」菊之助、萬太郎 

12月国立劇場「三人吉三」時蔵、松緑、芝翫 「河内山」白鸚、梅玉 


相変わらずの人気ぶりで黙阿弥も満足していることでしょう。




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演劇研究家・河竹登志夫(1924-2013)、登志夫の父・河竹繁俊(1889-1967)、曽祖父の河竹黙阿弥(1816-1893)     江戸から平成に続いた河竹家三人を紹介するサイトです。(http//www.kawatake.online) (※登志夫の著作権は、日本文藝家協会に全面委託しています。写真・画像等の無断転載はご遠慮願います。)